Artec Leoの活用で海事資産の健全性を長期間維持
課題:海事関連のサービスプロバイダーであるUSP Maritimeは、修理や改修作業を実行する際にそれが遠隔地であったり、元の設計が入手できない場合でも対応できるようにCADデータを必要としていました。
ソリューション:Artec Leo, Artec Studio, Autodesk Inventor
結果:海事検査や改装、修復の計画と実行の加速化に使用できる、非常に詳細な船舶部品と造船所の機械モデルを取得できました。
Artec 3Dを選ぶべき理由:配線が必要となる従来の3Dスキャナを廃止したことで、USP Maritimeのワークフローは大きく変わりました。内蔵バッテリーとディスプレイに加え、高度なジオメトリとテクスチャのトラッキング機能を備えたLeoは、たった数分で大規模な構造物や場所を正確にキャプチャすることができます。
USP Maritimeのエンジニアが Artec Leoを使用してコンテナ化された建造物をデジタル化している様子。
人類は長い間海上に存在してきましたが、自然はときに残酷なほど厳しい環境を作り出すため、世界中の海を航行できるような最も頑丈な船でさえも、海に浮かぶ状態を保つには定期的なメンテナンスが必要です。
そのメンテナンスには、ワックスがけや洗浄、塗装、オイル交換、エンジン修理などの単純な作業もありますが、大型船舶の場合はより緊急的な処置が必要になる傾向があります。これらをできるだけ早く特定して対処するために、部品の安定性や耐性、そして性能分析が行われることがよくあります。
しかし、警告サインを見逃さずにそのような資産を検査するのは、簡単なことではありません。巻尺やレーザー測定機、参考写真等を使用して船全体を測定することもできますが、その作業には多大な労力と時間がかかり、その間にはずっと船乗り達を陸地に留めてしまいます。
そこでUSP Maritimeの登場です。同社は海事設計コンサルティングサービスを通じて、改修や修理、そして分析に必要なジオメトリデータを生成します。当初、このチームは長距離用LiDARとターゲットを用いる3Dスキャンを使用してデータ収集をデジタル化し、やや成功を収めていました。
しかし、その後彼らはすぐに従来の (ターゲットや PCが必要となる) 3Dスキャンの落とし穴に直面したのでした。USP MaritimeのCTOであるクリス・パーク(Chris Parke)氏は、フルシーンのキャプチャで「非常に扱いにくい化け物レベルのスキャン」が生成されたこともあったと言います。彼が初めて使ったハンドヘルド型スキャナは、どうやらさらに「厄介」だったようで、「片手でノートPCを傾けながら、もう片方の手でスキャンする」という状況に見舞われたそうです。
非常に柔軟な Artec Leoを使用すると、非常に狭いスペースでもデータのキャプチャが可能になります。
これらの問題により、彼の会社はメンテナンスや修理、オーバーホール(MRO)の新しい方向性を検討することになったのでした。 それが、Artec Leoの採用のきっかけとなったそうです。USP Maritimeで商業ディレクターを務めるジェームズ・ドライデン(James Dryden)氏は、高速でワイヤレス型の3Dスキャンの可能性に興奮し、Artecのゴールド認定パートナーのPatrick Thorn & Co.に連絡を取り、Artecデバイスのキャプチャ機能の詳細を示すデモをオンラインと対面形式で実施してもらいました。
デモの終了後、Leoが大型建造物を迅速にデジタル化できる能力を持っていることを確信したUSP Maritimeは、このスキャナの購入を即決し、それが到着した翌日には早速クレーンのデジタル化プロジェクトを開始させました。このチームの即戦力を高めるために、Patrick Thornのチームは集中的なトレーニングを実施し、その後現場にその足で向かい、Leoのワンクリックでスキャンが開始できる機能のおかげもあって、全体をキャプチャすることができました。
「このスキャナ自体は本当に直感的に使用できます」とパーク氏は説明します。「バッテリー駆動のオールインワンパッケージになっているだけで、特に以前使用していた製品と比べてとても便利です。「トラッキング技術もレベルアップしています。Leoを使用すると、今まで2 ~ 3 時間かかっていたスキャンをたった10分で実行できます。欠点はなにも見当たりません。このデバイスはこれまで抱えていた問題をすべて解決してくれます」
Artec Studioが「驚異的なキット」な理由
USP MaritimeがLeoのデバイスの柔軟なキャプチャ機能に感動している一方で、パーク氏はArtec Studioのデータ処理能力こそが「Leoの能力を最大限に活かしている」と感じたそうです。
USP Maritimeが最初にスキャンしたおよそ16 メートルのクレーンは、そのサーフェスの細部まで詳細にスキャンされています。
パーク氏が以前利用していた3Dスキャン用プログラムは、Leoが扱うようなレベルの高品質なデータを読み込むと、「何日間もフリーズしてしまう」ようなものでした。その点、Artec Studioは、複数のスキャンを簡単に処理し、迅速な位置合わせが可能で、テクスチャ付きの水密メッシュを作成するために必要なすべてのツールを備えています。
USP Maritimeの以前のワークフローは扱いにくいファイルサイズによって困難なものでしたが、チームは現在、Artec Studioのスキャンデシメーション機能を使用して余分なフレームを削除できるようになりました。これにより、Autodesk Inventorなどのソフトウェアでメッシュを簡単に処理できるようになり、さらにCAD解析も実行できるようになりました。
「もちろん、このスキャナの見た目にも感銘を受けましたが、Artec Studioがキャプチャした情報を処理する方法もまた、素晴らしいと感じます」と パーク氏は付け加えました。「過去には、メッシュが少し動いたり回転したりするのを待つだけで多大な時間を費やしたことがありました。Artec Studioは実に驚異的なキットです。Artec Studioを使用することで私達が提供できるものは、これまで私達が実現してきたものよりもはるかに優れています」
彼らの初めてのスキャンを例に挙げると、パーク氏は、Artec Leoが高度な品質保証を行う上で十分な詳細をキャプチャしたと述べています。数十年前に導入されたこのクレーンはそのジオメトリのスキャンが困難でしたが、Leoの汎用性と精度のおかげで、塗装の剥がれた小さな部分から、見えにくい場所に開けられた穴まで、動作状態を評価するために必要なデータを取得することができました。
Artec Leoがリアルタイムのデータのフィードバックを使用することでエンジンルームのデジタル化に使用されている様子。
彼がこのデバイスを使用していた時間の短さを考慮すると、キャプチャされた詳細レベルは驚異的なものでした。この件について、パーク氏はパトリック・ソーン氏に感謝しています。ソーン氏は、追加のデータキャプチャによる位置合わせについてや、粗い部分の仕上げ方法など、プロセスを合理化するために必要なアドバイスを提供していたのです。
海事MROの将来性
Leoを使用して海事機器の1対1のモデルを作成することは、USP Maritimeの改修ワークフローの鍵となっています。たとえば、既存の配管を回避して作業する必要がある場合、チームはこれをスキャンし、ブラケット等の固定具をカスタマイズして所定の位置に収めることができるようになりました。
パーク氏は、最近の使用例ではこの原理がより大規模に適用されており、船舶のエンジンから「除去がほぼ不可能」だったおよそ300KgのポンプのキャプチャにもLeoが使用されていると言います。その船舶は運航中だったため、チームには実験する時間はありませんでした。
そこで、これらの巨大な部品だけをデジタル化するのではなく、USP Maritime はそのエリア全体を3Dスキャンし、チームが「リモートで計画を立てる」ことを可能にしたそうです。そうすることで、船が次にドックに入ったときに戦略通り迅速に修理を行うことができたのです。
将来に参考資料として使用できるようUSP Maritimeによってキャプチャされたエンジンルームの大まかなスキャン。
「この機関室では、将来的に再検討できるよう、空間全体をスキャンすることにしたんです」とパーク氏は言います。「実はその後、そのデータが必要になったんです。モデリングを行う必要すらなく、その空間の表現として使用しました。まるでフライスルー動画のようでしたが、実際にそこから制御してきちんと測定することができました」
今後パーク氏は、このアプローチが USP Maritime MROの中心になるであろうと考えています。将来的に修理が必要になる可能性のある領域では、「念のためにLeoを採用する」ことですべてを見逃さないようにすることができるからです。
最初のトレーニングを提供して以来、パトリック・ソーン氏はUSP Maritimeに専門知識とサポートを提供し続けています。同社のテクノロジー習得に大きく貢献した彼は、「今はすべてがとても順調にいっているようだ」と言います。Artec Studioのライセンスとバッテリーパックの追加販売は、「Artec Leoが現在ではUSPチームのワークフローと成功において、広く使用されている重要なツールになっている」ことを反映していると指摘しています。
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