3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Leoを用いたルワンダの遠隔地の患者への 義肢装具の個別製作

課題:ルワンダの訪れることが困難な地域での患者の四肢の測定方法、及び個別製作による義肢の装着方法をより速く、より侵襲の低い形で見出すこと。

ソリューション:Artec Leo、Artec Studio、PROTEOR OrtenShape、及び3Dプリンティング

結果:義肢の計測、3D印刷、装着を一日のうちに完了できるデジタル化されたワークフロー。既に二十三人の患者が大腿(膝から上部)用義肢を利用しており、更に百人以上に対しての実施計画がある。

なぜ、Artec 3Dなのか:Artec Leoのワイヤレスで一体型の構造は、医療現場以外の場所における、煩わしい石膏による型取りを避ける形での高い精度による患者の計測に最適である。

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Handicap Internationalの医療スタッフにArtec Leoの使用方法を実践してみせる、Artec社3Dスキャニング専門業者ミカイル・コロレフ(Mikhail Korolev)。写真:Artec 3D社

世界中では、約三千万人の人々が義肢装具を必要としている。しかし、世界保健機関(WHO)は、低所得国家の九十パーセントがそういった患者に治療を行い、快適さ、自信、可動性を患者に再びもたらすために必要なテクノロジーを利用できていない、と推定している。

患者の多くは一九九四年の大虐殺の傷跡が未だ癒えていない、ルワンダのような発展途上国に居住しており、その医療システムは需要に応えるために勤しんでいる。現地の医師が直面している主な問題の一つは、その多くが隔離された地域に住んでいる患者の適切な治療の可能な診療所への移送である。

近隣のルワンダで同様の課題を克服した民間公益団体のHandicap Internationalは、ルワンダの四肢切断患者に直接医療を届ける計画の策定を二年前に開始した。人々が寸法計測や装着のために収容施設やリハビリテーション施設を行ったり来たりする代わりに、この計画では僅か数分のうちに末端使用者用の義肢装具の迅速な3D印刷、及び装着が完了する。

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Handicap Internationalのプロジェクトが施行中の施設、HVP Gatagara義肢装具病院。写真:Artec 3D社

しかし、Handicap Internationalは更に、デジタル・マニュファクチュアリングの利点を最大限に活用できるような、患者の計測をより高速に行う手段を必要としていた。担当班がArtec Leoとの提携を始めたのは、この理由からである。3Dスキャニングの大手企業である同社は3DスキャナであるArtec LeoをHandicap Internationalへ複数出荷しただけではなく、スタッフが同テクノロジー機器を十分に活用できるよう訓練を行う専門業者を派遣した。

Artec Leoで望み通りの速さを

プロジェクトの一環として、Artec 3D社のエンジニアは二〇二四年初頭に、ルクセンブルグの開発協力・人道問題局(Directorate for Development Cooperation and Humanitarian Affairs)の後ろ盾によって、講習を行うために現地へ飛ぶことを実現させた。Handicap Internationalの担当班は3Dスキャニングの利用経験はなかったものの、Leoのワイヤレス機能及び内蔵のディスプレイにより、取り扱い方法を素早く、簡単に習得した。

五日という短い期間の後、同班は必要となるデータすべてをキャプチャできるようになり、義肢装具の個別製作を始める用意が整ったことを証明するトラブルシューティングのテストにも合格した。

「Leoを初めて扱ったとき、ゆっくりと着実に進めないといけない、と思ったようだ。しかし、ほんの二、三日のうちに、3Dモデルを『描く』ために絵筆のように使用することができる、と気付いたらしい」と、Artec 3D社のプロジェクトエキスパートであるジェリー・クライン(Jerry Klein)は説明する。「すぐにスキャンを始めることができたようで、その眼から見て取れたのは、スキャニングの容易さに感心している様子だった」

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3DスキャナArtec Leoを用い、膝から足首の部分のキャプチャの練習をするHandicap Internationalの医療スタッフ。画像:Artec 3D社

当プロジェクトの技術マネージャーであるロバート・クレメント・ハコリマナ(Robert Clement Hakorimana)は、Leoのリアルタイムトラッキング、及び〇.一ミリメートルの精度を特に称賛した。実際のところ、試用中にスキャンデータとメジャーによる計測値の間に偏差が実質的に無いことを確認できたようで、『正に本当の脚のように見える』完成したモデルに呆気に取られていたようだ」

従来の二日にわたる手作業での石膏製の鋳型の製作、修整、輸送の工程と比較すると、3Dプリンティングは遥かに単純明快で、リードタイムも半分に短縮された。デジタル化によっても、計測過程が患者にとって更に容易なものとなり、ハコリマナは非接触型の3Dスキャニングを特にデリケートな部分のキャプチャの際に『プライバシーをより良い形で尊重できる』と評した。

大腿用義肢の3Dプリンティング

この最初の講習会から、担当班は社内の3Dプリンティング性能の確立、及び対処の必要な患者の治療の開始に着手し、当プロジェクトはますます強化されていった。初回に取り扱う義肢には、当医療スタッフは膝関節上部で切断された脚部の復元用に設計された大腿用義肢の個別製作を選んだ。

義肢の製作のため、担当班は患者の残肢のキャプチャ、及びArtec Studio上での精密な3Dモデルの製作から取り掛かった。当ソフトウェアの優れたデフィーチャブラシを使用してサーフェスの不自然な部分を除去した後、同班は穴埋めを施し、最後にメッシュ単純化を(ポリゴンの数を低減させ、他のソフトウェアでの使用を更に容易とするために)行った。

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Artec Studio上で作成した3Dスキャンデータを編集する、Artec社の3Dスキャニング専門業者ミカイル・コロレフとHandicap International担当班。写真:Artec 3D社

クラインとArtec社の仕事仲間は、ソリッド幾何形状に立方体形状を追加した上で腕や足の身体部スキャンデータを除去することにより鋳型を作成する方法も、担当班に伝授した。ただ、今回の場合に必要となったのは、ポイント間の偏差マッピングと計測値を確認し、完成したモデルを3D印刷の可能な義肢へと作り上げるためにソフトウェアOrtenShapeへエクスポートすることのみであった。

この無料で利用できる医療設計用ソフトウェアを活用し、担当班は義肢を個々の身体により良い形で装着できるよう、その形状を調整することを実現させた。例えば、軟組織が多く集まった箇所を有する患者の場合には補装具を除去することができ、反対に、関節のような骨を多く含む箇所に補装具を加えると、動く際に痛みを伴う摩擦が起こらないようにするために役立つのである。

最終的に、四肢のキャプチャ及び義肢の設計は二時間以内で完了し、3D印刷については夜通し実行できるため、毎朝、患者への装着のための新たな製品一式がすぐに利用可能な状態となる。

「我々は大腿用のソケットを一日中3D印刷しているため、朝には利用準備が整っている」とハコリマナは付け加える。「我々の設計ではコネクタが内蔵されているため、義肢を即座に装着でき、既に形状が用意されているので穴を開ける必要も無い。印刷したものが利用可能となると、わずか三十分で患者のひざの関節に繋げて義肢を装着できる」

更なる数の患者支援を目指して

Handicap Internationalの担当班は、歩行や日常生活における活動を人の手を借りずに行える機能を患者に回復させた義肢により、既に二十三人の患者の人生を変えている。しかし、それだけに留まらず、当班は自身の製作する義肢の改良に引き続き努め、同NGOは切断患者の健康であった四肢を極めて本物のような義肢に『鏡のように』反映させる方法を編み出そうとしている。

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Artec社の3Dスキャニング専門業者のジェリー・クライン(左から四番目)とミカイル・コロレフ(右から六番目)、並びにHandicap International。写真:Artec 3D社

OrtenShapeは踵、足、膝、バック・ブレースなどの他の義肢装具もサポートしており、ハコリマナは同僚と共に新たな分野へ乗り出すことも考慮している。更に広い視野から言うと、Artec社の3Dスキャニングは以上に述べたような、あらゆる状況に対応できる解決策を提供し得るため、現在では地域の保健機関が同テクノロジーを採用し、独自の医療機器の製造を開始していくことが望まれる。

「このテクノロジーは、我々の義肢装具に関する必要事項をすべて賄っている」とハコリマナは締めくくる。「既に、異なる病院の人々に本テクノロジーの導入を要請しており、保健省にも独自での義肢装具の製作、及び国中へのテクノロジーの普及促進を進めてもらえるよう呼びかけている」

最終的な目標は最低三百人の患者に切望している義肢を提供することであり、本プロジェクトはこの分野での3Dスキャニングの可能性の基準としても機能し得る。今後数年にわたり、Handicap Internationalの世界中の遠隔地に住む人々への援助を更に容易なものとするよう、この取り組みが同団体による慈善活動の範囲の拡大を後押ししていくことが期待されている。

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