Artec 3Dスキャン技術がNASAのハイブリッド・リアリティ空間の作成をサポート
NASAは、現在、人類がより深く太陽系に踏み込くためのミッションに取り組んでおり、このミッションの一環として「オリオン(Orion)」カプセルや「スペース・ローンチ・システム(Space Launch System)」などのプログラムの完成を目指しています。これらのプログラムを完成させるには、宇宙飛行士が学べる新たな訓練環境やプロシージャを作る必要があります。
ミッションの完了までに数ヶ月、ときに数年かかる火星探査のようなミッションにおいて、宇宙飛行士の従来行ってきた訓練の有効性を維持しながらコストを下げる事が重要です。NASAの専門家は仮想現実技術を駆使し、さまざまなシミュレーションを行いながら、できるだけ現実に近い訓練をどのように提供できるかを模索しています。
2015年、NASAはハイブリッド・リアリティ研究所(Hybrid Reality Lab)を設立し、コンシューマ・グレードのVRと追跡された3Dオブジェクト(オブジェクト追跡技術を使い3D空間内でオブジェクトの位置を特定する技術)を組み合わせ、手触りを含めた高度な臨場感によりこれまでにない没入感を実現しようとしています。この研究所はカスタムデザインしたヘッドセットとカスタムVRレンダリングソフトウェアを使い、宇宙飛行士用の訓練環境の開発に取り組んでおり。
2015年、NASAはハイブリッド・リアリティ研究所(Hybrid Reality Lab)を設立し、コンシューマ・グレードのVRと追跡された3Dオブジェクト(オブジェクト追跡技術を使い3D空間内でオブジェクトの位置を特定する技術)を組み合わせ、手触りを含めた高度な臨場感によりこれまでにない没入感を実現しようとしています。
無重力空間と現実に近い触感の実現を目指しています。現在、ジョンソン宇宙センターにある分室で開発中の「アルゴスシステム」(ARGOS:Active Response Gravity Offload System)が完成間近の段階となっています。
NASAにある「Hybrid Reality and Advanced Operational Concepts Lab(ハイブリッド・リアリティおよび先進運用概念研究所)」のマシュー・ノイエス所長は「これは基本的に背中に取り付けたスマートテザーのようなもので、人の体重を減少させ、垂直および水平方向での勢いをコントロールすることにより月の重力や火星の重力など、低重力空間などを細かく体験することができるようになります」と言います。
仮想現実(VR)をアルゴスに導入することにより、宇宙飛行士は、3Dワールドに没入することで3D国際宇宙ステーション環境を体感し、国際宇宙ステーションは仮想ヘッドセットを使って宇宙飛行士をナビゲートすることができるようになります。
現在では、ハイブリッド・リアリティの凄さを見せつけるさまざまな用途がありますが、そのパイオニアとなったのは国際宇宙ステーションでした。これは米国人宇宙飛行士が頻繁に使用する内部モジュールの動的シミュレーションです。
NASAのハイブリッド・リアリティ研究所の専門家は、Artec Space Spider 3Dスキャナを使い、宇宙でのミッションで使用されるツールを3Dスキャンし、その3Dモデルをシミュレーション訓練のために仮想現実環境に導入しました。
仮想環境内にいる他の宇宙飛行士と一緒に訓練することもでき、地球の裏側にいても一緒に作業することができます。このことはさらに高度なアウトリーチ活動の可能性を開いています。つまり、市販されているヘッドセットを使い、自宅にいながらサーバーにログインし、リアルタイムで宇宙飛行士の訓練を、NASA TVより高度な臨場感をもって監視することができます。
この研究所はカスタムデザインしたヘッドセットとカスタムVRレンダリングソフトウェアを使い、宇宙飛行士用の訓練環境の開発に取り組んでおり。
NASAには、掘削用ボルトで使用されるピストル・グリップ・ツール(PGT)と呼ばれる宇宙用ドリル、EVA(船外活動)やドッキング中に使用されるレンジ/レートツール、国際宇宙ステーションの通常メンテナンスや修理で使用される標準型レンチなど、数多くの宇宙資産があります。
さらに、レントゲン技術を使って岩や土壌の構成を調べるレーザー・レーダー・ガン(下の写真参照)など、今後のミッションで使用される予定の開発中のツールもあります。これは同様の目的のために地上で使用するために市販もされています。このガンは、シミュレーション訓練のために仮想環境で使用できるようArtec Space Spiderを使ってスキャンされ、極めてリアルなテクスチャのあるモデルが作成されました。
「火星の表面でサンプルを収集するとき、このようなツールを使って、サンプル内部の構成比を調べることになりますが、3Dスキャナを使用することにより、極めてリアルにこのモデルを作ることができるため、仮想現実の中でこのツールの使い方を学ぶことができます。」とマシュー・ノイエス所長は言います。
現実世界のオブジェクトと3Dスキャンされたオブジェクト
SERVIR(NASAと米国国際開発庁の合弁会社)の地理空間情報技術リーダーであるフランシスコ・デルガード氏は「物理的に測定し、写真を取ってからこれらのツールや資産のモデルを手間を掛けて作成したり、テクスチャのないCADファイルで作業するよりも、3Dスキャナで実際のオブジェクトをスキャンし、極めて精緻なモデルを作成するほうがずっと良いソリューションであると考えました」と言います。
この研究所はSpace Spiderスキャナに加え、Artec Studioソフトウェアを使い、ポイントクラウドの作成、ノイズの除去、生成したメッシュモデルへのテクスチャ追加を行っています。
「ハイブリッド・リアリティ研究所がArtec Space Spiderスキャナを選んだ理由は使用者の目に優しい白色LEDを照明として使用しているからです。」と、デルガード氏は教えてくれました。「また、Artecは当研究所の精度要件も満たしており、小型から中型オブジェクトのスキャンに極めて優れたソリューションです。」
3Dでレーダーをスキャンすることに加え、このデジタルインターフェースを作り直し、デバイスから効果音をキャプチャしました。これにより、VRでの臨場感は本物と見分けがつかないレベルを実現しています。