「革新的」Artec Leoの3Dスキャナでヨットを装飾
課題:ヨットデッキの開発業者であるTT Custom Marine社は、高級感のある木製の外観を持ちつつもメンテナンスが比較的いらない、カスタムフィットの合成デッキを作成するにあたって、より効率の良い方法を求めていました。
ソリューション:Artec Leo、Artec Studio、Rhinoceros 3D
結果:それぞれの顧客のボートを測定して合成デッキを設置するための物理的なテンプレートを作成する代わりに、現在、同社は3Dスキャンを活用して個々のヨットモデルの仮想ライブラリを構築しています。このデジタル化の推進により、在庫を保管する必要性が減り、デッキ作成のワークフローをさらにカスタマイズできるようになり、デッキの生産が最大75%高速化されました。
Artec 3Dを選ぶ理由Artec Leoの内蔵ディスプレイと完全にコードレスな仕様のおかげで、同社は煩わしいスキャナの配線と格闘したり、望ましくない照明の条件下から得た低品質のスキャンに対処することなく、屋外でボートの全体を自由にスキャンできるようになりました。
Artec Leoを使用してボートを3Dスキャンする、TT Custom Marine社で社長を務めるトラヴィス・ティー(Travis Tea)氏
私達の多くにとって、豪華なヨットを購入して世界を航海するというのは、ただの幻想に過ぎません。しかし、幸運にもその夢を実現できた人でも、初期費用をはじめ、予期せぬ課題に直面しなければならない傾向があります。
プライバシー関連の問題や、合法的に停泊できる場所を見つけなければならない点に加え、多くの新しいボートの所有者は、基本的なアメニティの取り付けや修理に関する問題を挙げています。このようなヨットのデッキは、紫外線や雨、そして海水に常にさらされているため、綿密な監視が必要な領域です。特に、チーク材などの一般的なボートの素材で作られている場合は要注意です。
自然の防水性をもたらすシリカとオイルを高濃度で含んでいるにもかかわらず、チーク材は非常に高価で、摩耗を防ぐために定期的なメンテナンスが必要になります。実際、ウッドデッキの清掃はボートを保存するにあたって非常に重要であるため、ボート業界全体がその側面に注目しています。
しかし、これにより世界航海がより高価なものとなり、現実味を失くすのではとお思いなら、心配はご無用です。TT Custom Marine社は、世界航海の夢を実現し続ける方法を提供するからです。
合成なのにチーク材のような外観
小型ボートやヨットの所有者がこういった高額なサービス費用を回避できるよう、TT Custom Marine社はメンテナンスが不要なさまざまな合成デッキや床材製品を提供しています。
TT Custom Marine社による合成デッキを装備したボート
20年にわたって細部にこだわってきたり、イノベーションや顧客サービスを続けてきた同社は、業界で最も経験豊富な合成デッキ製造業者の1つです。しかしながら、それだけ長い間この業界にいても、要求の厳しい顧客の貴重な所有物にシームレスにフィットする床材を作成することは未だに大きな課題となっています。
「なにせ100万ドルのボートを扱うわけですからね。そんな顧客のボートを手掛ける際、やはり顧客は結果としてきちんとその値段に見合った外観にしてもらうことを望むんです」とTT Custom Marine社の社長であるトラヴィス・ティー(Travis Tea)氏は言います。「デッキはきちんとフィットしなければなりませんが、完全に平らだったり、四角い形状のボートなどは存在しません。たとえば、床がフットレストになるように少し上向きに湾曲していたり、コックピットの角が水の流れをコントロールするように角度がついていたりするのですが、こういった場合は常に困難な作業になります」
「誰もがそのチーク材の外観を望んでいますが、誰もそれをきちんと手入れしようとはしません。特に乗組員を乗せない小型ボートの場合はそうです」
Custom Marine社の顧客が所有するボート
同社は彼らが今まで行ってきた仕事の大半において、物理的なテンプレートを使用して顧客のボートのデッキを測定してきました。その際、透明なマイラーフィルムにヨットの輪郭を手描きする作業が伴い、何千というユニークなパターンが構築されてきましたが、その多くは現在倉庫に眠ったままになっています。
画像技術の進歩に伴い、同社の業務も進化しました。近年、ティー氏と彼のスタッフは、まずデジタルテンプレートを介してデジタル化を実験してきました。このプロセスには依然として物理的なパターンが含まれていますが、少なくとも、必要に応じてCNCマシンに送信できる再利用可能な仮想モデルが生成されました。
しかし、新しいボートのレイアウトや、標準モデルとは異なるレイアウトにフィットするようデッキをカスタマイズする場合、物理的なテンプレートでは対応できませんでした。同社のマイラーテンプレートの多くが時間の経過とともに壊れ始めた頃、デジタル化の推進をさらに進める必要があることが明らかになりました。その結果、Artec Leoを使用する3Dスキャンに同社は辿りついたのです。
OEMクライアントのためにボートをスキャンするティー氏
「たとえ私達が既に特定モデルのボート用テンプレートを持っていたとしても、もし顧客がそれではなく別の製品用のものを手掛けて欲しいと私達に依頼してきたら、私達は再びテンプレートを最初から作り直さなければなりませんでした」とティー氏は言います。「これが私達が 3Dスキャンに最初に惹かれた理由です。今では、一度ボートをスキャンすれば、もうそれで十分なのです。顧客がどの製品を望んでいても、そのボートに戻って[再スキャン]する必要はありません。また、高いクオリティでアーカイブされるので、劣化することもありません」
スキャンのために出航
TT Custom Marine社の乗組員が初めて3Dスキャンの方法に切り替えたとき、彼らは初心者用のハンドヘルドデバイスを使用しました。これにより、彼らはカスタマイズができるCADモデルの作成を開始することができました。これは、物理的なテンプレートを使用する従来の方法と比較すると大幅な進歩です。しかし、ティー氏はそのスキャナはデッキの詳細を十分にキャプチャするには「解像度が足りなかった」と言います。
この低価格のデバイスのもう1つの欠点は、屋外の日光の下でオブジェクトをスキャンするのが困難なところでした。その結果、ティー氏のチームは、必要に応じて光を逸らすためのスクリーンを設置するなどして、オブジェクトをキャプチャする条件を改善するために多くの対策をしておかなければなりませんでした。
それとは対照的に、世界初の完全にコードレスでAIを搭載した3DスキャナであるArtec Leoは、いかなる照明の条件下でも、オブジェクトを迅速にキャプチャできます。ティー氏がLeoの存在を知るなり、彼はすぐに「これこそが自分が何年も待ち望んでいたスキャナだ」と気がついたそうです。
しかしそこで早速新しいスキャナに投資する前に、彼はまずArtec 3DのアンバサダーであるDigitize Designs社に実践的なデモを行ってもらえるよう手配しました。 Digitize Designs社に務める3Dスキャンのセールスエンジニアである ボ・ヘルムリッチ(Bo Helmrich)氏は、ノースカロライナ州で当時行ったデモで、「Leoが使いやすく、高速でスキャンできる様子を目の当たりにしたティー氏が完全に圧倒されていた様子」を今でも覚えていると言います。
「当時、ティー氏は他のスキャナと比較していましたが、Leoの方がはるかに高速で、 高解像度でした」とヘルムリッチ氏は言います。「ある時、彼は38ft(約12m)のボートをスキャンしたと報告してくれたのを覚えています。そのスキャンデータは1mm以内の精度で、彼はただただそれに驚いていました」
Leoの内蔵ディスプレイを使用してボートのスキャンにおける進行状況をリアルタイムで追跡するティー氏
「本当に革新的な点は、屋外でスキャンできることです。PCのそばに縛られることなく、足元をつまずかせる配線もありません」とティー氏は言います。「作業を進めながら結果を確認し、細部までチェックできるのは素晴らしいことです」
「ボートから水面に落下するのは避けなせければなりません。例えボートが陸にあったとしても、落下はできません。配線があったら、画面を見ようとしながら、配線と画面の2つ両方を気にかけなければならないわけですから、それは煩わしいったらありません」
ついにカスタマイズを実践
Artec Leoの採用により、TT Custom Marine社は高解像度の取得という、カスタマイズを行う上での大きなハードルを克服することができました。
ボートは標準的な金型から作られることが多い中、コックピットには他の部品やハードウェアが取り付けられる傾向があり、それらが毎回正確に同じ位置にインストールされるわけではありません。ヨットの設計をデジタル化すると、理論的には必要に応じてそういったバリエーションに対応できるようになりますが、同社はこれまで、それを実行できるほど十分に詳細を含むデータを収集できていませんでした。
ティー氏のチームは、Artec LeoのHDモードを使用することで、細かいエッジ部分やスキャンが難しい表面を高解像度でキャプチャしながら、ノイズのないヨットデッキの3Dモデルを作成できるようになりました。
「ほとんどのボートの床には滑り止め用の模様が施されています。それらは通常、高さ約1~1.5mmの小さなひし形の模様です」とティー氏は言います。「私達が初めて3Dスキャンを試みたとき、その模様をきちんとキャプチャできる解像度を持ち合わせていませんでした。Artec Leoを使用すると、細かいディテールや色の変化がキャプチャされるので、違いがはっきりとわかります」
Artec Leoでキャプチャされ、Artec Studioで処理されたボートの床部分のスキャン
Artec Leoに切り替えた上でのもう1つの利点は、スキャンスピードです。物理的なテンプレート作成には、たとえ小さなボートであっても以前は3~4時間かかっていましたが、TT Custom Marine社ではこのデバイスの毎秒最大3,500万ポイントのスキャン速度を利用して、わずか1時間で45ft(約14m)のボート全体をキャプチャできるようになりました。
スピードに関しては、ティー氏はArtec Studio もまた「革新的」であると言います。Artec 3Dスキャンを採用する前、彼の会社は3種類のプログラムを駆使して3Dメッシュをクリーンアップし、テクスチャ化してから、モデリングや分析、そしてプロダクション用のファイルにする準備のために RhinoというCADデザイン用ソフトウェアにエクスポートしていました。
TT Custom Marine社による、Rhino 3Dで編集をした後のボートのスキャンデータ
現在では、Artec Studioがそういった面倒な作業をすべて行い、メッシュを簡素化してくれるので、処理がはるかに速く簡単になりました。
「Studioでのプロセス全体は従来行っていた作業よりとても簡単です。グローバル位置合わせやスキャンの位置合わせ、そしてメッシュの簡素化まで全てが簡単になりました」とティー氏は言います。「40~45Ft (約12~14m)のボートをスキャンするには40~60 ギガバイトの大きなデータセットが必要になります。Artec Studioは、これらのサイズが大きいファイルを非常に簡単に操作することができます。そんなことはArtec Studioにとってはお手の物ですよ」
次の戦略
ボートデッキのカスタマイズをマスターしたTT Custom Marine社は現在、Artec Leoを使用して何か他のビジネスを展開していくことを検討中です。
ティー氏は、彼の会社が自身が「新しいお気に入りのおもちゃ」と呼んでいるスキャナを使用して、長年つきあいのある造船パートナーのために製造停止した金型のリバースエンジニアリングを行ったり、カスタム治具の製造も始めようとしているところだと言います。
より直接的なデッキ関連の用途では、同社は特定のアセンブリを 3Dスキャンすることで、特定モデルのすべてのボート上にある同じ場所に再現して設置できるようにするというアイデアも検討しています。
最終的に、他の分野でArtec Leoを使用することになっても、このままArtec Leoでデッキのカスタマイズだけに集中することになっても、どちらにしてもLeoはすでに彼と彼のビジネスにとって「天からの恵み」になっているとティー氏は言います。
「Leoに関して、これから向上して欲しい点なんて思いつきません。現時点で既にもうちょうどうまく機能していますから。本当に最高ですよ」
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