3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Evaを使用して、新型コロナに対応する医療訓練のための本物そっくりな人体模型を作成する

課題:非常に現実的な人体模型を使用して、呼吸のケアが要る新型コロナ患者が押し寄せてくるケースに対応できるよう訓練します。

ソリューション:Artec Eva、Artec Studio、ライフキャスティング、彫刻、鋳造

結果:英国や世界中で、何千ものとてもリアルな人体模型が医療訓練に使用されています。

Lifecast Body Simulation (Lifecast BodySim)社が最初に始動したとき、彼らは映画業界に功績を残しました。それは、ほとんどの人は本物の人間と区別がつかないくらいリアルな人体模型を用いることによってできたことです。

悲惨な戦争シーンから、特殊効果、超自然現象の様々なものまで、ロンドンのエルストリー・スタジオ(Elstree Studios)のチームは、ブロックバスターのヒット作や、 ブラックホーク・ダウン、プライベート・ライアン、そしてワイルド・スピードシリーズなどの大規模な作品を含む多くの映画に関わってきました。しかし、数年にわたって映画制作のために模型の遺体を供給した後、彼らは別のことを考慮していたある2人の医療従事者から連絡を受けました。それは、医療訓練についてでした。

呼吸器系は、肺機能を再現するカテーテルを備えたマネキンでテストされています。(Instagramより、@Lifecastbodysimからの写真)

「デイブとロブの2人は、戦争地帯を含む世界中のあちこちで働いてきた非常に有名な救急救命士です」と、スクーニーと言う名で最も知られているイギリスの芸術家で彫刻家のトリスタン・スクーンラード(Tristan Schoonraad)氏は言います。「彼らは私たちのところにやって来て、「この本当にリアルな人体模型を使って、僕たちは訓練できるはずだよ。」と言いました。」主に映画、テレビ、アートの分野で鋳造、 3Dスキャンおよび印刷のソリューションを提供する、Life3d Studiosでの彼の仕事の他に、 スクーニー氏は、共同創設者兼クリエイティブ・ディレクターである父親のジョン・スクーンラード(John Schoonraad)氏とともに、Lifecast BodySimのディレクターとしても活動しています。

このパンデミックが始まる前は、Lifecast BodySimはすでにこの業界に関与していました。「私たちはもう何年も医療に携わってきました」とジョン・スクーンラード氏は言います。「最近、それに多くの関心が寄せられているんですよ。僕らが行うようなビジネスのタイプは、他は誰もやっていないんですよ。」

イギリスが新型コロナのパンデミックによるロックダウンの時期に入るちょうど2週間前の3月23日、Lifecast BodySimは5人の遺体模型(医学用語で言えばマネキンですが)をNHSナイチンゲール病院に寄付しました。 そこは、新型コロナに対する英国の対応の一環として設置された、臨時の救急病院です。

最初は、 英国の2000人もの医療従事者が、新型コロナ関連の病気、例えば呼吸器合併症や呼吸困難などに対応するための訓練をこれらのマネキンを用いて受けました。この訓練は、特に人工呼吸器およびインキュベーター(保育器)の使用に集中していました。

現実的な人体模型は、新型コロナのテストや、呼吸器疾患などの訓練に使用されます。

緊急事態の場合、新型コロナが世界中の医療施設にもたらした混乱の中では、正確さと精密さが鍵となります。「これらの手順のどれかを間違って行うと、多くの損害を与える可能性があります。」 とジョン・スクーンラード氏は言います。「シリコンの模型で作業の経験をしておけば、実際の患者を目の前にしても、初めてのようにはなりません。すでに経験済みだからです。」

人体模型を超現実的にするためには、これらのマネキンを作成する過程が非常に細かく徹底している必要があります。特に人間の頭の細部をキャプチャして再現するには、Artec Evaの細部へのこだわりが不可欠です。

構造化光式3Dスキャナ で、テクスチャを入れ込みながら正確な3Dモデルの作成を専門とするArtec Evaは、オートバイの排気システムや、建設機械、またこの場合の人体などの中型オブジェクトに最適です。人間の目を含む、あらゆる表面で安全に使用できるEvaは、迅速、精密、おまけに非常に正確です。

何世紀にもわたって、ライフキャスティングと呼ばれるプロセスが、鋳型と鋳造を通じて生きている人体の3Dコピーを作成するために使用されてきました。現在、映画やデザイン業界では未だに一般的に使用されており、乾燥海苔をペースト状にさせてから、型に塗る技術も行われています。スクーンラード氏は、頭を型からを作成するのに20分、そして準備に何時間もかかり、その後多くの作業が必要になると予測しています。スキャンはわずか数分で済みますが、体全体を作成するには、開始から終了までに合計少なくとも3時間はかかります。

現在ライフキャスティングは、既に馴染みがある手法であることと、本体から直接作成された型に詳細を入れることができるという利点がありますし、印刷と彫刻のプロセスをスキップします。しかし、それでも業界は3D スキャニングの手法が主流になりつつあります。全体的に使用するか、部分的だけに使用するかの2択になりつつあります。

Lifecast BodySimでは、ライフキャスティングの手法はArtec Evaのスキャンと一緒に使用されることがよくあります(たとえば、頭部にArtec Evaを使用し、残りの体の部分にはライフキャスティングを行います)。しかし、Evaの使用には明らかな利点がありました。特に、ライフキャスティングのプロセス自体が難しいと感じる年配の方と作業を行うにあたっては、その利点は浮き彫りになりました。

実際の人間をスキャンすると、よりリアルな印象を得ることができます。たとえば、ライフキャスティングとは異なり、モデルに目を開けてもらうことができます。」 とジョン・スクーンラード氏は言います。3Dスキャンのもう1つの利点は、スキャンの速い速度のおかげで、再スキャンでさらに必要な顔の表情や、体の位置をキャプチャできることです。もしスキャンの途中で「うわっ、この出来栄えは嫌だな!」なんてこともありうるわけですから、そんな時のためにね。と、スクーンラード氏は笑います。

「ライフキャスティングされることは楽しい体験だ、などとはとても言えませんが、スキャンのプロセスはとても速く、簡単で、正確です」と彼は言います。「スキャン中は、数分間腕を伸ばして立つだけです。また、ホテル、スタジオなど、どこでも行うことができます。スキャンの方法がやっぱりいいですよ。」

モデルの人がスキャンされたら、データは Artec Studioで処理され、印刷されます。「次に、その印刷されたものを持ってきて、彫刻で洗練させて、型を作ります。」 とジョン・スクーンラード氏は言います。この段階で モンスタークレイ(可鍛性があり、成形力に優れ、独特の弾性を備えた品質)が使用されているため、皺などのより細かいディテールを追加できます。この型では、シリコンを使用してとてもリアルな人体模型を作成しています。

これでもかと言わんばかりに最高にリアルにさせる最後の仕上げの1つは、マネキンに本物の髪をつけることです。このプロセスは、プロのヘアスタイリストでトリスタン・スクーンラード氏の妻であるグレーシー・スクーンラード(Gracie Schoonraad)さんによって行われます。

「体が完全に作られたら、その人間と長毛の野牛(ヤク)で作られた髪の毛は文字通り、打ち込まれるのよ。」と、頭髪やまつげ、眉毛を髪の毛の束で縫ったり、かぎ編みをしたり、ひっかけたりするグレーシーさんは言います。「現実的なものを作るっていうのは、とても難しいことよ。実際の髪を追加することで、すぐに、本当に生きてる本物の人間みたいになるのよ。」

そして、人体模型は驚くほど実際の外見よりもはるかに驚くべき特性を持っています。なんと、呼吸能力と人体の内部の機能までも備えて作られるレベルに達したのです。脈拍を測ったり、呼吸のシミュレーションなどができるんですよ、とジョン・スクーンラード氏は言います。また、「私たちの人体模型はどれも、喉の下にカメラがついています」と彼は言います。これは挿管訓練に使用され、医療従事者が適切なチューブを喉に通す練習をすることができます。「私たちの人体模型の1つの喉を見下ろすと、それは本物の人間の喉のように見えるんですよ。」

3Dスキャンは、内臓を含むマネキンの部品をデジタルで組み立てて、きちんとフィットするかどうかを確認するためにも使用されてきました。未加工部品のデジタル模型を作成したり、または胸郭などの成形が非常に難しい部品をスキャンして、それを印刷するためにも使用されます。

スキャンは、内臓の正確な複製を作成するための方法としてよく使用されます。(Life3D Studiosからの画像)

「ここで見られる胸郭は、特定のマネキンで超音波(エコー)のシミュレーションができるようにする、まるで協奏曲のような技術に基づいています」とLife3D Studiosのジャスパー・ターナー(Jasper Turner)氏は言います。「つまり、それは半分の肋骨のみを含む既存の範囲の設計と一致しなければなりませんでした」既存のテクノロジーとデザインの正確な複製を組み込むために、スキャンとミラーリングが使用されました。その後、完全な一式がシリコンマネキンに埋め込まれました。

ちょうど3年前の創業から、Lifecast BodySimは世界中のクライアントを受けるように拡大しました。「私たちの人体模型を持っている人々は、インド、オーストラリア、ドイツ、フランス、サウジアラビアにいます–彼らは世界中のあちこちにいます」とジョン・スクーンラード氏は言います。米国の医療従事者向けに、製造センターもフロリダに開設されました。1週間に1体の作成が理想ですが、新型コロナウイルスの規制に従った縮小操作を行いつつも、スタジオで異なる人体模型の作業が同時に行われるので、毎月15体を超えるマネキンが作成されます。

型から作られると、シリコンマネキンは髪の毛、しわ、シミュレートされた身体機能などの詳細で非常にリアルになります。(Life3D Studiosからの写真)

Patrick Thorn 3D のパトリック・ソーン氏は、今日の世界でこの仕事の価値と重要性が増していることを理解しています。「長年、部分的な体、臓器、骨格などはありました。」と彼は言います。「しかし、現在はさらに厳しい規則や規制により、医療関係者はこれまで以上に現実的なトレーニング補助器具を必要としています。Life 3Dと彼らのスキルは、感触のある完全または部分的な模型により、最も現実的なトレーニングを支援するものです。」

そして、特にこの世界的なパンデミックの真っ只中に、Lifecast BodySimの作業が重要となっています。

「私達がこの新型コロナウイルスの奇妙な時代に、第一線で働いている人々を守るために人々が3Dスキャン技術を使った製品の購入や使用をしようとしているのは素晴らしいことです。とソーン氏は言います。

パンデミックが起こった際での3Dテクノロジーの使用は多くの人にとっては驚異的でしたが、ジョン・スクーンロード氏は驚きませんでした。「3Dテクノロジーでこうなることは、ずっと前から予測できていましたよ。」と彼は言います。「Artecのスキャンソフトウェアとハードウェアを採用してよかったです。私たちがそれらから得たものは、本当に私たちを助けてくれます。私達は常に他より少し先に進んでいることを誇りに思っています。

「私たちはまだ、これからどんな素晴らしいことができるか、模索を始めたばかりです。」

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