皆様の消防隊の夢をArtec Leo及びRay IIにより 製作されたFarming Simulator 向けDLCで現実に
課題:人気のFarming Simulatorビデオゲーム用の実在するアドオンの形で、デジタル上の農作業と消防活動の世界を組み合わせること。
ソリューション:Artec Leo、Artec Ray II、Artec Studio、Autodesk 3ds Max、Autodesk Maya、Blender、及びAdobe Substance Painter
結果:ゲーマーが消防隊員のように火災現場や車両事故の残骸から人々を救うことのできる、実物のような車両及び器材の詰まった『Emergency Pack(非常用パック)』。その素材のフォトグラメトリの代わりに3Dスキャニングを用いたデジタル化により、リードタイムは最低でも三分の一短縮された。
なぜ、Artec 3Dなのか:Artec LeoとRay IIの併用により、3Dデータキャプチャの精度、及び計測データをまったく独自の形で組み合わせることが可能となる。Artec Studioソフトウェアを利用すれば、大規模なオブジェクトや更に大きな領域などの極めて高解像度の3Dモデルの製作にLeo及びRay IIによるスキャンデータを組み合わせることもできるようになる。
Artec社製3DスキャニングでキャプチャされたFarming Simulator用Emergency Packの消防車
PCゲーミングは幸運にも、改造を扱う巨大なコミュニティに支えられている。キャラクターやゲームプレーの整備からまったくの新たな領域に至るまで、このような改造者は純粋なゲーミングへの情熱から、お気に入りのゲームに新しい活力を吹き込むダウンロード可能なコンテンツ(DLC)を開発することも多い。
ドイツのホプステンの町を拠点とするFrederic Leifelingとその3Dアーティストのチームにとって、事の始まりはこのようであった。同チームがFarming Simulatorのことを最初に知った際には、このゲームによって自身の趣味の対象であるゲーミング、エンジニアリング、そして究極的には3Dモデルへの興味をすべて組み合わせることができることに気付いたのである。改造者の趣味として始めたことは急速にビジネスへと発展し、二〇一六年のCreative Mesh社の創立に繋がった。
Fredericの指揮の下で当企業はその力を増し、複数の有名なゲームへのモデルを製作し、自身のデジタル化サービスを立ち上げた。
しかし、開発企業であるGIANTS Software社との密接なつながりを確立すると、Farming SimulatorがCreative Mesh社の最優先項目となった。同社のヒット作『Straw Harvest』向けのDLCを足場とし、Fredericは妙案を最近閃いた。それは、「仮想的な農業の世界に消防車を登場させては?」というアイデアであった。
消防はしご車の頂部のキャプチャに利用されるArtec Leoによる3Dスキャニング
自身もボランティアの消防隊員である当企業のCEO、Fredericは既に関連する機材を入手できる立場にあり、消火作業への詳細な知識をも持ち合わせていた。ただ、一つの問題点があった。それは、巨大な消防はしご車、並びに救助に必要なスプレッダーや救助用ハサミのような専門的な機材を如何に速く、正確にデジタル化するかということであった。その解決法となったのが、Artec Leo、そしてArtec Ray IIである。
3Dスキャニングで追い風を
自動車のデジタル化に際しての主な障害の一つは、アクセスである。車両のモデリングは、元となる設計ファイルがあればかなり単純化される。しかし、CADデータは調達が難しく、手元にあったとしても、詳細やプレースホルダーが欠けていれば目的にそぐわないものになってしまう可能性もある。
Creative Mesh社でのこれまでの回避策は、3Dスケッチング向けの視覚的参照データとして画像を利用するか、あるいは機械類やトラクターのキャプチャにフォトグラメトリを利用することであった。しかし、Fredericはこれでは基礎的な寸法しか取得できず、後者には非常に多くの写真が必要となるため、容量の点で『程なく限界に達した』 と話す。
よりリアルなビデオゲームモデルを作成し、リードタイムを短縮しようと努力する中で、 チームが長期にわたるパートナー企業であるGIANTS Software社に連絡を取ったところ、同社はしばらくの間、3Dスキャニングを利用していることが分かった。そのワークフローを加速化する潜在性を確信し、Creative Mesh社はその後Artec社アンバサダーのKLIB社へ連絡し、世界初のワイヤレスでAI駆動型の3DスキャナであるArtec Leoの生での実演を体験することになった。
パートナー企業Epic Farming社との動画撮影後に、キャプチャ済3Dスキャンデータをディスプレイに写し出している状態のArtec Leo
Leoによるデータキャプチャを全自動デジタルカメラによるものと比較して、Fredericは自身のチーム共々、その直観性と精度双方に「完全に圧倒された」と言う。このことで同企業は当機器の購入を決断し、チームはたった一日の講習の後、直ちにスキャンを開始できるようになった。
「イノベーターの方たちが技術的課題を克服していく支援を行うことは、いつもやりがいのあるものであるが、これは支援先がFredericとそのチームぐらい乗り気である場合に特に当てはまると言える」と、KLIB社のCEOであるKnut Lehmannは語る。「短い研修を経た後では、Leoが今回の業務に最適なツールであることは明らかであった。同機器はその速さ、及び使いやすさにより、同チームがこれまで使用してきたものより明らかに一歩先の成果をもたらしたようだ」
しかし、チームが小規模の機器類のデジタル化を終えて更に大きな車両のスキャンデータをまとめようとした際、その作業は可能ではあるが多大な時間を要することに気付き、問題に直面した。3Dスキャニングの利点を最大限に活用するため、Fredericはチームには長距離用ソリューションも必要であるという結論に達した。その機器が、Artec Ray IIだったのである。
大型農家用車両のキャプチャのため、三脚上で延長された状態のArtec Ray II
LeoとRay IIの併用はそれ以来、その見事な腕前を実証している。Leoの多用途性により、チームは二台の消防はしご車を細かく詳細にキャプチャすることができた。そして、Ray IIを用いて現場をより幅広い視野で一気にデジタル化した上で、そのデータからビデオゲームにすぐ使用できる、極めて高い解像度を持つモデルを作成した。
Leoの内蔵ディスプレイによるリアルタイムのフィードバックにより、チームは処理過程に入るかなり前にデータキャプチャの完了を確認することができた。後に、Leoによる機器類のデジタル化は非常に高速であったため、エンジニアは現場から何も撤去しなくても良くなり、形式的な作業の多くを省略することに繋がった。
「そのような巨大な車両のキャプチャは、大変だった」と、Fredericは語る。「これと並行する形であらゆることが発展し始め、他の使用事例が数件持ち上がった。このことで我々はArtec Ray IIの導入を検討し始めたが、強調したいのは、同機器がArtec Leoと非常に相性の良い形で組み合わされたという点だ」
「我々はFarming Simulatorのためにデジタル上の情報が全く存在しない、旧式で専門的な機器類もキャプチャした。そのため、このような3Dスキャニングの性能を利用できることは、大きな強みである」
『多重解像度』を持つビデオゲーム用モデル
Artec Studioは、Creative Mesh社のビデオゲームモデリングのワークフローのまさに中核を成している。このパワフルな3Dデータキャプチャ・処理プラットフォームを有効活用すれば、 複数のスキャナによりキャプチャされた非常に詳細なデータセットを組み合わせ、クリック一つでメッシュの解像度を最大限に向上させることもできる。
Fredericは、工程で取得されたテクスチャのレベルを特に称賛する。3Dモデリングの際に参照として利用されるメッシュの完成品は通常、細かなディテールも容易に確認できるほどの色彩を有している。また、Fredericは自身のチームが『互換性に関して問題を抱えることは全くなかった』と付け加えながら、ファイルの容量を減らすためにフレームの除去を行い、エクスポートを簡単な作業とするArtec Studioのスキャンデータのデシメーション機能も歓迎する。
ゲーム内のCreative Mesh社製Farming Simulator用消防はしご車のモデルの完成版
メッシュの最適化が完了した後には、Creative Mesh社は極めて実物に近いPBRテクスチャ処理のため、Autodesk Maya、Autodesk 3ds Max、Blender、そしてAdobe Substance Painterなどの一連のソフトウェアを利用してモデル化を行う。その作業では、チーム内の3Dアーティストはジオメトリデータだけでなく、ベイク処理されたテクスチャを参照として使用しながら、スケッチを始めることもできる。
「当社の参照モデルは今では非常に質が良くなり、3D空間内においてすべてをフルカラーでご覧いただける」 と、Fredericは付け加える。「画像を基としたモデリングと比較すると、我々は基本的に、作業を早急に終わらせることができる。当社のリードタイムは、最低でも三分の一短縮されている」
その成果は、誰の目にも一目瞭然だ。同社製のDLCは二台の消防はしご車(梯子の横木や光を反射する塗装までキャプチャ済)と共にホースや交通整理用器材も備えており、現在ではゲーム内で使用可能だ。また、リアルさを付加するため、事故で破損したモデルまで含まれている。これは他の如何なる方法でも再現は不可能と思われ、絶賛を持って迎えられたことも当然であろう。
「ヨーロッパでは実際、多くの農業経営者が消防隊でボランティアを行っている。我々がこの新たな楽しみ方をFarming Simulatorに追加しようという考えに思い至ったのは、何よりもこの理由からである」 と、Fredericは説明する。「本パックを発売することで、結果的にSleeperのコミュニティ全体を活気づけることになった。我々のDiscordチャンネルの登録者数も二倍になって、本当に驚きだ」
新たな仮想世界への拡張
流れの早いビデオゲームモデリングの世界においては何もせずにじっとしているような余地はなく、Creative Mesh社は既に他の数々のプロジェクトに取り掛かっている。Farming Simulatorのマップの発売はNetflixで人気の映画、Rebel Moonに触発されたものであることから、当該チームはArtec LeoとRay IIを併用することで新たな領域に活動範囲を拡げ、 PCゲームの名作Microsoft Flight Simulator向けに二つのターボジェットを内から外までデジタル化した。
Creative Mesh社は3Dスキャニングを航空機のスキャニングのような新たな領域へと活用し始めている(画像参照)
自身のチームの3Dデータキャプチャの技術が継続的に向上するにつれ、Fredericは更なるリードタイムの上昇を予測している。消防はしご車のスキャニングだけにおいても、Fredericによると「大きな前進が見受けられ」、従来よりも七十パーセントの速さを実現したと言う。将来的には、Creative Mesh社は年代物のトラクターのものも含めた更に多くのモデルを公開し、3Dスキャニングのより幅広い可能性を模索する予定である、とFredericは付け加える。
「当然、当社の提供項目の幅を広げたいと考えている」と、Fredericは締めくくる。「他社へのサービスの提供に、当社の本技術における経験のすべてを利用したいと考えている。デジタルの世界を構築するために、建設現場からすべてのものをキャプチャすることも、アイデアの内の一つである」
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