宇宙飛行士のスーツをArtec 3Dスキャナでデジタルキャプチャ
目的:ハンディ型高精度3Dスキャナを使用して、クライエントが着用している宇宙服を、正確な色の3Dで10分もかからずにデジタルキャプチャします。
利用ツール: Artec MHT、Artec Studio
先日、Artecのスタッフは、パイロットと宇宙飛行士一人ひとりに合わせたライフサポートシステムを製造するロシアのユニークな企業NPP Zvezdaを訪れました。 その目的は、宇宙飛行士が減圧という最も危険度の高い作業を行うときに着る ソコールーKV-2宇宙服をスキャンするためでした。 この宇宙服は非常に軽量(約8.5kg)です。 1979年から現在まで使用されているこの宇宙服が期待されている機能を果たさなかったことはありません。 ArtecのMHTスキャナーは3D宇宙船モデルに統合させる宇宙服の3Dモデルを製作するために使用されました。
以下で、どの様にモデルを製作したかを詳しく説明します。
- スタッフが宇宙服(実用されているもので、過去に6ヶ月間宇宙で使用していたもの)を着て、衝撃吸収シートを真似た特別装置に座りました。離陸や着陸を始めとした大きな危険と直面するときに宇宙飛行士が取るポーズをできるだけ正確に再現するように全てを整えました。
- 適切な圧力になるまで宇宙服を空気で膨らませると、スキャンの準備ができました!宇宙服をキャプチャするために、 MHT スキャナー を使用しました。この機種は、中程度の大きさの対象物を正確にスキャンすることを得意としており、色合いも正確にキャプチャします。さらに計算をしていくために、正確にスキャンすることが非常に重要でした。データが正確でなければ、宇宙飛行士は宇宙で減圧に直面するかもしれないのです。
- 宇宙服をスキャンするのに要した時間は10分で、全てはスムーズに進みました。宇宙服を着た人は特定のポーズを取り、スキャン中、そのままでじっとしていなければなりませんでした。スキャン作業が終了し、宇宙服から空気を抜くと、スキャンされたZvezdaのスタッフは「やぁ、地球の皆さん」と言いました。これには、一同笑顔になりました。ArtecのスキャナーとArtec Studioソフトウェアを用いて作成されたこの3Dモデルは、最終的に新しい宇宙船を設計するのに使われる3Dの宇宙船モデルで使用されます。Zvezdaの社員は3D技術が宇宙産業の開発で重要な役割を果たすことは疑いの余地がないと考えています。
このプロジェクトに携わったエンジニアの1人は、次のようにコメントしました。「これまで紙面や設計図では見ることができなかったところを、3D技術で見ることができるようになりました。新しい宇宙服を設計するのに、3D技術は非常に役立ちます。別の椅子に配置したり、回転させたり、角度を変えることも、3Dモデルを使えば可能なのです。」
Zvezdaの従業員は、3Dスキャナーを別の作業でも使用することを検討しています。例えば、 この技術を応用して、各飛行士の体に合った船内座席を開発することなどです。宇宙飛行士は宇宙にいる時間のほとんどを座席に座って過ごすのですから、これら座席をできるだけ心地の良いものにすることは非常に重要な仕事です。これが可能になると、宇宙飛行士はさらに長い時間宇宙で過ごすことができるようになります。
現在、カスタム座席製作部は、整形外科で使用されているのと似たような古い技術を使っています。まず、飛行士の背中を型に取り、手動で測定するツールを用いて座席を製作するシートメーカーに送られます。もちろん、希望する精度で座席が製作されることはほとんどありません。
さらに、デベロッパーとエンジニアはソフトシェルスーツを3Dスキャンすることも検討しています。現在開発中のソフトシェルスーツは、それを着る人の腕や手の動きを大幅に改善し、これにより様々な細かい装置を使うことができるようになるのです。
Artec一同、このエキサイティングなプロジェクトに携われたことを誇りに思うと同時に、宇宙産業でどの様に3D技術が活躍できるかについて学会や研究団体から意見を賜りたいと思っています。
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