3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Evaが顔の柔らかい組織の動きを正確に測定します

概要: MRI、CT、 CBCTといった方法では正確性に欠け、術前と術後の患者の顔の軟組織の変化を正確に測定することは、大きな課題となっています。

目的: ハンディ型3Dスキャナを使用して、患者が立っている際、座っている際、横になっている際の顔の柔らかい組織をスキャン。その後、これらのスキャンを使用して正確な比較分析を行います。

利用ツール: Artec Eva、Artec Studio

トルコ、アンタルヤ地方にあるアクデニス大学の最近の研究にARTEC Eva 3Dスキャナを導入し、姿勢により変化するヒトの顔の軟組織の動きを極めて正確に測定しています。

長年、この医療チームは頭部測定法というこれまでの方法を用いて頭部や顔の比率の研究を行ってきました。磁気共鳴映像法(MRI)、コンピューター断層撮影法(CT)、コーンビームCT(CBCT)などのスキャニングソリューションも使用しています。しかし、アクデニス大学のトルコ人研究者は、これらの従来の方法は精度に乏しいと指摘します。これらの方法からそれぞれバイオメトリックデータを取り、これを組み合わせて臨床分析すると、測定結果にブレが生じます。これらの結果が考慮されることはほとんどなく、事実上、医療現場におけるパンドラの箱のような存在でした。

MRIやCBCTなどの代わりに、大学がARTECのトルコのパートナーであるTeknodizaynから購入したARTEC Eva構造化光3Dスキャナを研究に使用したところ、測定のブレはほとんどなくなりました。Evaは持ち運びが簡単で、柔軟な設計により、従来の技術が直面していた問題を克服しています。Evaを使用しない場合、現在の医療技術ではバイオメトリックデータを取るために、患者さんが直立状態、着席状態、または仰臥位状態を維持することが条件となります。Evaを使えば、このような患者さんへの負担や医療チームへの制限はありません。Evaを使えばあらゆる角度からスキャンでき、収集した大量のデータを全体的に分析し、より正確で信頼できる結果を導き出すことができます。

研究論文「直立体勢、着席体勢、仰臥位体勢が顔の軟組織に与える影響:詳細な3D解析」の中で、著者であるアクデニス大学医学部解剖学科のオズソイ氏、セカーシ氏、オグット氏は、生体組織の変位と医療イメージング法における重大な疑問を提起しています。

体勢が代わることで、顔の軟組織はどのように変化したでしょうか?このような変化が医療解析や医療行為にどのような影響を及ぼすでしょうか?

まず、実験者は、ヒトの顔の軟組織の動きの複雑さを研究しようとしました。特に、撮影中、体勢を直立、着席、仰臥位と変えることによる、組織の変位程度に注目しました。体勢が代わることで、顔の軟組織はどのように変化したでしょうか?このような変化が医療解析や医療行為にどのような影響を及ぼすでしょうか?

次に、この研究が提起した最も重要な課題かもしれませんが、多くの医療従事者が必ず直面する根本的な問題、測定方法に言及しています。顔測定で使用される一般的な技術は、選択した方法による外部的な問題に直面します。顔の軟組織の正確なデータを必要とする重要な医療行為では、このような外部的な問題による影響を完全になくすことができなくても、最小限に抑えることができるかどうかで測定方法に対する信頼性が大きく変わってきます。

トルコ人の医療専門家による今回の研究では、重力が重大要因の1つとして挙げられています。

トルコ人の医療専門家による今回の研究では、重力が重大要因の1つとして挙げられています。重力は体に一定の力を押下し、その影響力は極めて軽微なものとなっています。しかし、ヒトの顔の軟組織に関して言えば、その影響力は甚大なものとなっています。そのため、この研究は、現在の撮影技法によりレンダリングされたデータは、撮影中の体勢による変化によりもたらされる重力による影響の変化を考慮して解析するべきであるという仮定から始まっています。

ヒトの顔の軟組織に対する重力の顕著な影響力を研究するため、研究チームは、19~24歳の男女それぞれ35人で実験を行いました。体勢により、重力が顔の軟組織の形状や容量をどのように変化させるかを調べるため、幾つかの方法でトラッキングを行いました。研究チームはペンを使って、被験者の顔に直接35箇所に点を描き、顔の表面に印をつけました。これを「ランドマーク」と名付けました。顔に丁寧に描かれた点を使って、体勢を変えたときの被験者の頭部に起こる変化をスキャンデータを用いて観察することができました。Evaの測定誤差は最大0.1 mm、3D解像度は最大0.5 mmと極めて高精度であるため、今回の研究が提起した根本的な問題に回答するのに極めて大きな役割を果たしました。

(A) 着席、(B) 直立、(C) 仰臥位の被験者をARTEC Evaでスキャン

3Dイメージをキャプチャしたら、これをARTEC Studioにnアップロードし、各体勢でのスキャンセットを手動で位置合わせしました。研究チームは各被写体に属する顔のスキャンデータを配列する方法を見つける必要がありました。そこで、「ミッド・エンドカティオン・ポイント」と呼ばれる点を使いました。「顔の中で統計的に最も安定的な点」と言われるこの点は、目の内側の端の間にあります。これを使って、研究チームは、頭部の横断面、垂直面、矢状面にそれぞれ対応するXYZ軸を配置しました。

研究チームは、デジタルな「フェイシャルマスク」を形成するようにすべての点を配置した後、ARTEC Studioの表面マッピングアルゴリズムを使い、スキャンセットをマージしました。ランドマークにより、スキャンの位置と方向に均一性をもたらしました。これにより、XYZ軸を解析することにより、着席、直立、仰臥位による組織の変位を観察することができました。フェイシャルマスクを電子上で重ね合わせることで、組織の位置やパラメータにおける変化を示すランドマークの動きを特定することができました。

(A) 着席状態と直立状態、(B) 着席状態と仰臥位、(C) 直立状態と仰臥位でスキャンしたフェイシャルマスクを重ねた偏差カラーマップ。青は偏差が負、赤は偏差が正、緑は特定点における表面上の偏差がゼロに限りなく近いことを表しています。

GraphPad Prism 6.05バージョンを使い、研究チームは必要な統計分析を行いました。ランドマークは表面の変位を定量化するため、標準偏差(SD)分析が行われました。また、平均平方根(RMS)、平均絶対偏差(MAD)および平均符号付き距離(MSD)の重要な数値データも算出し、表面の形状と容量の変化も明らかにしました。 これにより、研究チームは重力による顔の軟組織の動きを数値で証明しただけではなく、医療スキャン機器の欠陥も補うことができました。

顔の軟組織の3D解析により、着席状態と仰臥位、直立状態と仰臥位で組織が最も大きく動くことが分かりました。一方、着席状態と直立状態では、すべての軸において動きがあまりないことも分かりました。さらに、ランドマークを解析することにより、各ランドマークの体勢に対する感受性も明らかになりました。

この研究は医療コンサルテーションや医療行為全体で重要な意味合いを持ちますが、特に、些細な誤算が大きなミスやバランスの歪みにつながる口腔顎顔面外科では特に重要となるでしょう。

この研究は医療コンサルテーションや医療行為全体で重要な意味合いを持ちますが、特に、些細な誤算が大きなミスやバランスの歪みにつながる口腔顎顔面外科では特に重要となるでしょう。手術前後の顔の軟組織の正確な測定が結果に直接影響するためです。

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