クラッシックカーに新しい命を吹き込む: 最小の部品も完全に3Dスキャン
目的: Artec EvaとSpace Spiderを使って、 クラッシックカーの1937 Ford Eifelをスキャン。プリント、板金金型、スペアパーツを作成するための完全な3Dモデルを作成します。
使用するツール: Artec Eva、Space Spider、Artec Studio
Classic-Car.TVはミュンヘン工科大学の MakerSpaceイノベーションセンターで、Artec 3Dスキャナを使用し、1937年製 Ford Eifelをスキャンしました。
非常にレアなクラシックカーの現在の状態をキャプチャし、同時にこれを正確に測定し、後世のためにこれを保全し、事故や損傷があった際にスペアパーツを作れようにするにはどうすれば良いでしょうか。Classic-Car.TVのチームは、このような作業を数多くこなしてきました。クラシックカーと関連するすべてのものに情熱を持つこのチームは、Classic-Car.TVウェブサイト上で記事、写真、ビデオを公開し、クラシックカーの世界を余すところなくオーディエンスに伝えています。Classic-Car.TVは毎週新しい記事を投稿しており、そのリーダー数は世界中で毎月約30万人に達しています。
クラシックカーで3Dスキャンを使用する目的と利点
Classic-Car.TVチームはクラシックカーの3Dモデルデータベースの制作に取り掛かっています。1937年製Ford Eifelもその1台です。この車両には特殊なグレイザーシャーシがあるため、本当にレアな1台と言えるでしょう。
スキャンの準備が進むFord Eifelしっかりと確実にトラッキングするために、特徴のない広いサーフェスにターゲットを付けました。
最近まで、クラシックカーはステンシルフレームを使い、手でキャプチャしていました。車両周辺にフレームを置き、スライスごとに2Dスキャンしていました。これによりできた断面から木製のスケルトンを作成し、車両の形を再現しました。この方法はよく使用されていますが、費用と時間がかかり、正確さに劣るものができてしまうこともよくあります。
この作業のために、3Dスキャナを使うことで、時間と費用を節約するだけではなく、従来の方法と比較しより正確なモデルを作ることができます。個々のパーツのスキャンデータは、パーツの検査や改良を行ない、スペアパーツを制作するリバースエンジニアリングに使用することができます。これは、このFord車のように、レアな車が損傷を受けてしまった場合などに特に重要です。この車は折りたたみ式の屋根を紛失していますが、これも、今日、再現することができます。さらに、この車のオーナーは、3Dスキャナを使った測定を含め、可能な限り正確に車の状態を記録として残しておきたいと考えていました。このデータを使って3Dプリントした、このFord車の1:4の縮小モデルが既に作られています。
Artec 3D:MakerSpaceとの共同作業により、ワクワクするようなプロジェクトを実現
Ford Eifelのデジタル化は、ミュンヘン工科大学のイノベーションセンターである「UnternehmerTUM」の一部であるMakerSpaceハイテクワークショップとのコラボレーションで行われました。敷地面積1,500平方メートルを誇るMakerSpaceには、金属や木材、布などの素材を最新設備で加工するための各種製造エリアがあります。Classic-Car.TVチームはこのワークショップを訪れ、Artec 3DがMakerSpaceに提供したEvaとSpace Spiderスキャナを使って、このFord車の3Dスキャンを行ないました。"かつてないクラシックカー専門番組"として知られるClassic-Car.TVが、弊社「MakerSpace」ワークショップに参加!弊社のスキャナ、EvaとSpace Spiderを使ってフォード車の3Dデジタライジングに挑戦しました。協賛はArtecゴールド認定販売代理店「KLIB」。
Classic-Car.TVのケイ・マックキーネス編集長は次のように話します。「当社が持つノウハウは、当社のクラシックカーの復元方法の中に見ることができるでしょう。ここでは、最新技術が広く行き渡っています。」
リードフレームのスキャン
3Dスキャナが極めて小さなディテールまで高品質スキャン
チームはEvaとSpace Spiderという2台のハンドヘルド3Dスキャナを使い、製造されてから80年経つこのFord車のデータをできるだけ収集しました。車体に関する情報が多いほど、3Dモデルを完成する際の作業が楽になります。その一方で、各スキャンセッションでは大量のデータが生成されるため、ハイスペックなパソコンが必要となり、スキャンデータがありすぎるのも問題となります。
このFord車の車体には、マットの防食プライマーが塗布されており、光沢仕上げがなされていないことが役に立ちました。チームはテカリ防止スプレーを塗布する必要がなく、スキャンが簡単になりました。Ford車の車体、内装、木製フレーム、ラダーフレーム(車体を載せる部分)は、Artec Evaでスキャンしました。これにより、正確な電子測定を行うと同時に、スティフナーが紛失している場所を特定することができ、これらは後から別途スキャンすることができました。しかし、それだけでは十分ではありません。このクラシックカーを解体し、スキャンしにくい部分もしっかりとスキャンしました。このときに活躍したのが詳細スキャンにうってつけのSpace Spiderです。このスキャナは各パーツを驚異的な解像度でキャプチャしました。
Ford車の内装スキャン
「Artec 3Dスキャナでの作業は、私にとって全く新しい経験で、新しい可能性がいっぺんに開きました。」と、ケイ・マックキーネス編集長。「これまではテンプレートを使いクラシックカーを測定し、適切なモデルを構築する必要がありました。これは数カ月もかかる作業である上、不正確なモデルが作成されるリスクもあります。クラシックカーの高機能ガレージには、3Dスキャナを1台常備しておく必要があると思います。」
Artec Studioでスキャンデータの処理
個々のスキャンデータはArtec Studio 3Dモデリング用ソフトウェアで位置合わせとメッシュ化が行われました。データ処理中に、スキャンデータに穴がないかが確認されます。Ford車のスキャンはスムーズに行われ、リタッチが必要なのはキャプチャしにくかったコーナー部分とキャバティ部分のみでした。プロセスの最後に、ポイントクラウド、ポリゴンモデル、そしてテクスチャデータセットが作成されました。
包括的な3Dデータセットにより、車の復元が簡単になります。この1:1のモデルを使い、3Dプリント、金属板ダイ、スペアパーツを作成できます。Artec 3Dスキャナのお陰で、1台しかないビンテージカーが後世、カーマニア、そしてオーナーのために保全されました。
ミュンヘンで2017年8月の終わりに開催されたConcorso Competizione Sportivo展(モットーは「フューチャー・ミーツ・パスト」)で、ケイ・マックキーネス編集長はオリジナルのカーモデルを紹介しながら「作業範囲は膨大で、スキャンデータにより、数カ月かかるはずだった作業時間を短縮することができました。」と言いました。
Ford車の3Dモデル
Classic-Car.TV:今後の3Dスキャンプロジェクト
「MakerSpaceおよびArtec 3Dと連携し、私たちはいくつかのケースに取り組んでいます。これらのケースを通して、最新技術を従来プロフェッショナルが行ってきた修復方法にどのように統合できるかを紹介することができるでしょう。」と、ケイ・マックキーネス編集長。「作業は、パーツの再構築から始まり、型制作、そして車体全体のキャプチャの順で行ないます。これにより、損傷を受けてしまった場合でも、車を再現することができます。これは、レアな車では特に重要な事です。」
今後のプロジェクトについて、ケイ・マックキーネス編集長は、イタリア人デザイナー、ピエトロ・フルア氏が手がけた世界に1台の車「Fiat 600 Elaborazione Frua」のスキャンを行う予定であることを明かしました。この車にはフェンダにウィンカ取付金具がありません。これらは非常に特殊なデザインですが、3Dスキャンとリバースエンジニアリングにより、現在では、再構築が可能です。「さらに、スキャナで、シャーシ製造で使用される他のステンシル型もデジタル化し、事例的素材を作成するつもりです。」と、ケイ・マックキーネス編集長は意気込みを語ってくれました。
ストーリーの背景で活躍するスキャナ
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