3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artecスキャナが米空軍の先進製造(Advanced Manufacturing)オリンピックで大活躍

ある日、3D Printing Colorado社のチームは、LinkedIn(ビジネス特化型ソーシャルメディア)の投稿によって、締め切りが迫っていたこのスキャンコンテストの存在を知り、これは検討する価値があると思ったそうです。

「私達はこのイベントについて詳しく調べてみた結果、自分達はこのコンテストに参加する資格が十分にあると感じたのです」とマーケティングコーディネーターのデイビー・カノ(Davy Cano)氏は当時を振り返りました。「Box of Parts」と呼ばれる、3Dスキャンを用いたリバースエンジニアリングがテーマのこのコンテストに彼らは応募することになり、そこから競争が始まったのです。「私達はこのコンテストで十分に手ごたえのある競争ができる準備ができていると思ったので…やってみよう!ということになったのです」と彼は言います。

3D Printing Coloradoのニック・コンクリン(NickConklin)氏が、Artec Evaとロボットアームが共同作業しているところを観察している様子

このコンテストの課題である、箱の中の部品はほとんど機械的な部品で、光沢のある鋼からパッとしないただのゴムまで、さまざまな種類の材料と表面がありました。このように多様性のある課題を目の前にし、チームは彼らに一体何が必要なのか結論を出しました。それが、Artec 3Dスキャナでした。箱にあったすべてのアイテムをスキャンするために、Artec LeoとEva、そしてSpace Spiderの3つを用意しました。それにスキャナをよりレベルアップさせるために、RoboticScanも加えました。この高精度の自動スキャンステーションは、時間を節約させ、スキャンの過程で起こりうる全ての人的ミスのリスクを軽減してくれます。その上、それは直感的にキャプチャすることができるので、最短の時間で最高の結果を提供してくれるのです。

カノ氏はこう言います。「私達は素晴らしい事例を作り上げることができたと思っています。私達にはこの業界で十分長い経験もありますし、Artec 3Dからはゴールド認定もいただいています。それに加えて、私達には3Dスキャンの機材とソフトウェアツールもありますから、私達独自の創造性を活かしつつ、素晴らしいビデオコンテンツの活用を通して私達のスキルのお披露目ができたと思います」

このコンテストでは、大規模なチームや2つの企業がペアになっているチーム、そしてミリオンダラー規模の予算がある企業や、他と比較してはるかに多くのリソースを持っているチームなどの出現により、競争は激化していました。そんな中、3D Printing ColoradoチームはArtecスキャナを装備し、準備万全でした。「私達のチームはたった5人だけでしたが、あの非常に激しい競争に対抗するために必要なスキルとツールを駆使しました」と、セールス兼マーケティング担当副社長のニック・ヨシャ(NickYosha)氏は言います。

「私達はスキャンコンテストに参加中、私達の会社での通常営業を変わらず続けなければなりませんでした。もしArtec以外の他のスキャナやソフトウェアを使用していたら、参加は不可能に近かったでしょうね」

複数の種類のArtecスキャナを備えていたので、チームは課題のオブジェクトとその中でも困難な部分をスキャンするために最適なスキャナをそれぞれ選び、使用することができました。場合によっては、最良の結果を得るために複数のスキャナをペアとして使用したりもしました。例えば、「リアエンジンフレームガス」として知られるエンジン部品のスキャンには、複数の種類のスキャナを組み合わせることと専門知識が必要でした。「この部品を扱う過程で、私達は複数のスキャナを組み合わせ、可能な限り短い時間でデータを非常に高い精度でキャプチャすることができました。それによって、私達が持つスキャンについての専門知識のレベルを十分に実証できたと思います」と、アプリケーションエンジニア2種のニック・コンクリン氏は述べています。「まずLeoを使用して大まかな部分のスキャンをパパっと済ませてから、細かい部分にはSpiderからの高精度のスキャンデータを入力しました」

「Artecスキャナのおかげで、スキャンのほとんどは簡単に、すぐに終わりました」とカノ氏は付け加えました。

オンボード処理を備えた業界初の3DスキャナであるArtec Leoは、スキャナの後ろ側に内蔵されているタッチパネル画面を介して、3Dレプリカがリアルタイムで作成されていく様子を表示してくれます。そこでユーザーは3Dモデルを回転させ、オブジェクトのすべての表面をキャプチャしたかどうかが確認できます。キャプチャできなかったかもしれない部分があれば、そこを埋めていく作業もその時にできます。このおかげで、最も簡単で直感的なワークフローが得られるわけです。HDモードの導入で、さらに多くのことが期待できます。解像度は2倍になりますし、細い線や鋭いエッジ、そして深いジオメトリが完全にキャプチャされるようになります。それに加え、繊細なディテールや複雑な表面を効果的にキャプチャするためにデザインされた多くの機能がHDモードには備わっています。

RoboticScanは、エラーのない超高速のスキャンエクスペリエンスを提供します。

その他の部品には、組み合わせなしで単体のスキャナを使用してスキャンを終えました。コンクリン氏は、オーバーヘッドバルブのためのチェーン式ホイールをスキャンする際には、適切な角度やリギングがなければ内部のジオメトリをスキャンするのが難しいと説明しました。「この部品には、きちんとスキャンをするために分解させなければならない複数の可動コンポーネントもありました」と彼は付け加えました。「その部品には、Spiderだけを使用しました」

その名が示す通り、もともとは国際宇宙ステーションで使用されるために設計されたSpace Spiderは、ブルーライト技術を採用した高解像度3Dスキャナです。Space Spiderは、小型部品だけでなく、大型部品の複雑なディテールもすべて高解像度でキャプチャすることに特化しています。

Artecファミリーのひとりと何台かをご紹介:3D Printing Coloradoのニック・ヨシャ氏とArtecスキャナのEva、Leo、そしてSpace Spider。

このコンテストでの部品の中には難題もありましたが、頼もしいスキャナを完備したチームが簡単に取り掛かって完了できなかった部品は1つもありませんでした。それどころか、少し課題で遊んでみる時間の余裕さえも残っていました。

「これらと全く同じ部品はスキャンしたことはありませんでしたが、一般的にこういった類の機械部品をスキャンした経験はあります」とコンクリン氏は述べています。「全体的に言って、スキャンをした部品は簡単なものでした。コンテストの初日の朝にもうすべてのスキャンを終わらせましたから。その他のスキャンもそれほどハードではありませんでした」

史上初の先進製造オリンピックの一環として開かれたこのスキャンコンテストは、空軍の3Dスキャンに対する関心の高さと、航空宇宙産業における3Dスキャンの利用の拡大を表しています。その3Dスキャンの利用例として挙げられるのは、旧型部品のデジタル化や、破損してしまった部品をその現場でスキャンして修理をすることの他にも、燃料削減やパフォーマンス向上のために旧型部品をトポロジー最適化 のワークフローに取り入れることなどがあります。

「3Dスキャンはすでに航空業界で大きな役割を果たしています」とコンクリン氏は述べ、3Dスキャンに対するより迅速な改革に開発プロセス、そしてより正確なシミュレーションを指摘しました。しかし、それは現時点のみの話に過ぎません。将来的には、それ以外にも3Dスキャンを空軍の活動にすぐに採用させる方法は無数にあります。例えば、敵の位置を迅速かつ正確に分析できるシステムや、地上のエンジニアリングチームからのアシストに頼らずに宇宙で物の修理を可能にすることなどです。

「競争とは、一般的に改革を引き起こすものです。ですから、今回のように空軍がスキャンと製造業の分野で全米規模の競争を開始させ、そこから最高のソリューションを見つけようとする試みは、非常に賢いアイディアだと思いました」とカノ氏は言います。

彼らのチームは、3Dプリントされたユニークな銅メダルを受け取ることを楽しみにしています(しかも、彼らはそのメダルまで3Dスキャンをする予定だそうです!)。そして、彼らはすでに来年のコンテストを視野に入れています。「このコンテストは本当に楽しかったですし、是非また参加したいです」とヨシャ氏は言います。

「最高でしたね」とカノ氏は付け加えました。「次回は私達は1位になりますよ!」